09. Career Opportunities 出世のチャンス

2.5
白い暴動 - The Clash

Career Opportunities 出世のチャンス

・要約

・雑務や尊厳を失うような職に就くことを拒絶する反逆精神を表現したプロテスト・ソング。
・ザ・クラッシュ自身の人気が高まりライブで演奏することに葛藤が生まれた。
・4thアルバム「サンディニスタ」に別バージョンが収録されている。

・データ

1977年4月8日発売
録音:1977年3月
長さ 1:52
レーベル CBS
ソングライター ジョー・ストラマー, ミック・ジョーンズ
プロデューサー ミッキー・フット

・概要

クラッシュのメンバーは、75年から76年の大半を週に1度のわずかな失業保険で暮らしており彼らにとって仕事をしないことは目の前にある選択の問題だけだった。

だが職があるかどうかは多くの人々にとって自尊心にかかわる問題であり、低賃金の限られた労働によって政府の方針に対する信頼が呼び起こされるわけではないことを知った事によって作られた。

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ザ・クラッシュがCBSと契約する(デビュー)前に初期のデモとして録音した楽曲の中の1つでありその後、セルフタイトルのデビュー・アルバムのためにウィットフィールド・スタジオ3で再び録音された。

(ポリドールのために録音されたバージョンは、後にロンドン・コーリングのプロデューサーとなるガイ・スティーブンスのプロデュースによるもので、コンピレーション・パッケージ「Clash on Broadway」に収録されている)

ミック・ジョーンズによると、この曲は30分ほどで作りあげたがその中には、ポール・シムノンが歌うことを拒否した年金に関する歌詞の部分についての議論も含まれていた。

結局最終的には曲から削除された。曲名はイブニング・スタンダード紙の見出しから取ったもので、ポール・シムノンがつけた。

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当時のイギリスの政治・経済状況を攻撃しており、就職難(特に若者の)と、就くことの出来る職業の魅力のなさを取り上げることにより当時のイングランドの政治的、経済的状況を批判している。

具体的には、バスの運転手や切符の検査官などは当時「出世の未来がない」仕事。「BBCでお茶を淹れる」といった召使いのような仕事(当時イギリスでは召使い、使用人を奴隷のような印象で捉えられていた)や、軍隊や警察などパンクキッズの「敵」を揶揄している。

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職業選択の余地は無いにもかかわらず、雑務に就くことを拒絶しその反逆精神ゆえに 「出世のチャンス」はプロテスト・ソングとしてファンの間で支持された。

「I won’t open letter bombs for you あんたのためにレターボムを開きたいとは思わない」 という歌詞は、ミック・ジョーンズがDHSSベネフィット・オフィスで事務員としてアルバイトした経験からの事で、当時の政府機関は、テロ組織IRAがレターボムを武器として使用するなど、テロへの警戒を強めておりイギリス政府の部署のために手紙を開封して、郵便爆弾が仕掛けられていないことを確認するというものだった。

当然、郵便物を開封したがる人がいなかったので、バイトの先輩は一番下っ端のジョーンズにすべての郵便物の開封とチェックをさせたいた。

・ライブでの扱い

ザ・クラッシュの知名度と人気が高まるにつれ(結果的に裕福になるにつれ)、「出世のチャンス」という曲の内容を考えると、ライブで演奏していいのかどうかという問題がメンバーの間にあった。

しかし、1976年10月にザ・クラッシュのセットリストに初めて導入されたこの曲は、”White Riot “や “Janie Jones “といった他のファースト・アルバムの曲とともに、キャリアの残りの期間、セットの確固たる定番曲だった。

・関係者コメント

アメリカのシェイ・スタジアムなどの大規模な会場でも演奏されたことについて1999年のインタビューで、「5年前にカムデン・タウンでこの曲を書いたとき、シェイ・スタジアムで『出世のチャンス』を演奏することになるなんて、誰が想像できただろうか?こういうのが世界を面白くするんだよ」と語った。(ジョーストラマー)

1976年のキャロライン・クーンとのインタビューで、誰かが汚い仕事や下働きをしなければならないという意見に反論し、技術や機械が進歩して、工場での手作業の多くが機械でできるようになったことを指摘した上で、「失業者には社会的な汚名がつきまとう。イギリスの新聞『The Sun』に毎日掲載されている社会保障費の搾取者たちのようにね」「北部に行くと、キッズたちは仕事を得られないことを恥じているんだ」と語った。(ミック・ジョーンズ)

1977年、トニー・パーソンズのインタビュ「社会保障庁が受け取る手紙のほとんどは、近所の人がお金を必要としていないと言っている人たちからのものだった」と自分の経験を語っており社会全体が腹をくくって動いていた事が窺える。(ミック・ジョーンズ)

「この曲は仕事がないことと、キッズたちが昔とほとんど変わらない生活をしていたことを歌っているんだ。学校の友人のほとんどは、学校が他の機会や決断を与えてくれなかったから、角を曲がったところにある工場に働きに行ったんだ」(ポール・シムノン)

・サンディニスタ収録

1980年12月12日発売
長さ 2:30
レーベル CBS, エピック
ソングライター ジョー・ストラマー, ミック・ジョーンズ
プロデューサー(s) マイキー・ドレッド、ザ・クラッシュ

1980年に発売されたトリプル・アルバム『サンディニスタ!』には、原曲とは全く異なる珍しいリミックスが収録されている。 この曲では、ギターリフの代わりにピアノが使われており、セッション・ミュージシャンであるミッキー・ギャラガーの2人の息子、ルークとベンが、歌詞を修正してボーカルを歌っている(例えば、”civil service rules “が “my school’s rules “に変更されている)。

バンドのインジョークなのか、なぜこの曲が存在するのかは誰にもわからないが、『サンディニスタ!』を長すぎると酷評した評論家の多くは、LPの収録時間を短くするためにカットされたであろう多くの曲の1つとしてこの曲を挙げている。

・カバー

1999年にスリランカのヘビーメタルバンド「スティグマータ」がトリビュートアルバム「シティロッカーズ」でカバー。

カナダのロカビリーバンド「ザ・ファレル・ブラザーズ」がトリビュートコンピレーションアルバム「This Is Rockabilly Clash」でカバー。

・歌詞

They offered me the office, offered me the shop
They said I’d better take anything they’d got
Do you wanna make tea at the BBC?
Do you wanna be, do you really wanna be a cop?

Career opportunities, the ones that never knock
Every job they offer you is to keep you out the dock
Career opportunities, the ones that never knock

I hate the army and I hate the RAF
I don’t wanna go fighting in the tropical heat
I hate the civil service rules
I won’t open letter bombs for you

Career opportunities, the ones that never knock
Every job they offer you is to keep you out the dock
Career opportunities, the ones that never knock

Oi!
Bus driver
Ambulance man
Ticket inspector, I don’t understand

They’re gonna have to introduce conscription
They’re gonna have to take away my prescription
If they wanna get me making toys
If they wanna get me, well I got no choice

Career opportunities, the ones that never knock
Every job they offer you is to keep you out the dock
Career opportunities, the ones that never knock

Career, career
Career, it ain’t never gonna knock

・和訳

奴らはオレにオフィスはどうか、店はどうかと勧めた
自分たちの物ならなんだって 使ってもらって構わないと連中は言った
BBCでお茶を入れたいか?
ほんとに警官になりたいか?  

出世のチャンスは決してあっちからはやって来ない
連中が勧めてくる仕事はどれも見当外れなものばかり
出世のチャンスは決してあっちからやって来るもんじゃない  

陸軍は嫌いだ 空軍もだ
熱帯の暑さのなかで 戦いに臨みたいとは思わない
文官勤務規定もまっぴら
あんたのためにレターボムを開きたいとは思わない  

出世のチャンスは決してあっちからはやって来ない
連中が勧めてくる仕事はどれも見当外れなものばかり
出世のチャンスは決してあっちからやって来るもんじゃない  

バスの運転手 救急車の乗務員 チケット検札係  

奴らは徴兵制度を導入しなくちゃならないだろう
奴らはオレの権利を奪わなくちゃならないだろう
奴らがオレにおもちゃを作らせようっていうのなら
奴らがオレを思い通りにしたいのなら
そうさオレには何も出来ない 

出世 出世 出世 

決してあっちからやって来ない。

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